ホラーゲーム制作のノウハウをシェアしよう!

ホラーゲーム制作のノウハウやテクニック、成功・失敗事例、独自研究などを共有しあうスレです。

な感じの演出をしたら怖がってもらえた!」
「やっぱりプレイヤーにとって一番怖いのは××××だよね~」
「今までの自分の作品の傾向から見てのあるホラーは評判よかった!」


といった感じに、ホラーゲーム制作に関して気づいた事を書きましょう!
趣旨に外れなければ、なんでもOK!

何を書くか困った時のお題:
・ホラゲを作る時に常に気をつけている事は?
・最近遊んだホラゲで「これいいな!」と思ったのはどんなこと?
・自分がいままで作ってきたホラゲで評判が良かった演出やギミックは?
・自分がいままで作ってきたホラゲで評判が悪かった演出やギミックは?
・あなたにとって、どんなホラゲが遊びやすいと思う?
・あなたにとって、どんなホラゲが最凶に怖いと思う?
・ホラゲで気を付けるべきなのは何だろう?
・ホラーのストーリーはどうやって書いてる?
・ホラゲを作る上で一番こだわるのは?
・どういう気持ちでホラゲを作ってる?
・あなたにとって、どこからどこまでがホラー?
・作っている時には気づかなかったけど、公開してから分かったことは?
・ホラゲを公開する上であなたがやっている宣伝方法は?
・あなたがホラゲの作風で重視しているポイントは?
・あなたが尊敬するホラゲと、なぜそれを尊敬しているのかを教えて!
 
最後に編集:
とりあえず僕がホラゲ作りの時に常に気にしてる事を書いてみます。

一番効果的な「ビックリ演出」はプレイヤーが一番安心しきっている時ですね。

既存のゲームを例に例えるとするなら、
青鬼や魔女の家にある「ポーズメニューが突然怖い事になる」演出もまさにそれで、
いままで安心安全でいたはずのポーズメニューが突然地獄絵図と化すことで
プレイヤーを取り乱し、且つビックリさせることができる。

このようにうまく演出すれば、画像だけで効果音を大音量で鳴らさなくても怖がらせられるかも・・・?
 
僕はホラーゲームを殆どやらない身分なのに、
どうしたご縁か、青鬼のMV移植&新機能追加(『青鬼2016』)に関わらせていただいた者です。
そこで試行錯誤したことと、反響を見ながら感じたことから、
「なぜ青鬼がここまで人気が出たのか」が分かってきました。

この情報は、ホラーゲームのヒット作を考える上で大変有益になりうると思うため、
僕なりの分析を書かせていただきます。

●最初にご用心:ネタバレ前提です
青鬼をこれからプレイ予定で、ネタバレを見たくない人は、
このトピックは読まないことを推奨します。


●青鬼が爆発的人気になった理由(僕なりの推測)
■1.ルールが極めてシンプルである
ゲームオーバー条件は「青鬼に捕まること」、一貫してこれだけです。
他のホラーゲームのようにHPや空腹度などのややこしいパラメータは一切なく、
小学生でもすぐにルールが分かることです。

■2.謎解きにおける「手持ちのアイテムの活用法」の妙
これが青鬼の謎解きの最大の肝なのですが、
青鬼には、ただ「アイテム入手→謎解き」ということが少ないのです。
例を4つ挙げます

◆例1:複数のアイテムを組み合わせないと解けない謎
ピアノを調べると血が付いています。
ハンカチを持っているだけでは取れませんが、別の場所で入手できる洗剤を使い
「(洗剤の付いた)ハンカチ」にすることで、ようやく血が取れます。
◆例2:見る場所を変えることで解ける謎
檻の中の壁に意味不明の図柄が表示されます。
しかし、檻の外から調べると、暗証番号を示す数値が見つかります。
◆例3:ひとつのアイテムに複数の効果がある場合もある
中盤で手に入る「円盤」というアイテムは、別の部屋で、ボタンを押す際の順番の
ヒントになっていますが、実はそれで終わりではありません。
その後、金属の棒と組み合わせることで、鍵を作ることが出来ます。
「アイテムは一度使ったら終わり」と思っていたら、完全に見落としてしまいます。
◆例4:意外なところで、アイテムが入手したり使えたりする
最初の館の3階に、開けても壁しかない扉があります。ここで「+ドライバー」を使うと、
「ドアノブ」が入手できるのですが、これは知らないと、かなり悩むでしょう。
しかも、これを使うのは、壁紙の色が微妙に異なる所で「皿の破片」を使って壁紙を破り
扉を出現させた後、そこに取り付ける、という、相当トリッキーな使い方をします。

このようにルールは単純なのに「頭を使う」ゲームであることが大切なのです。

■3.青鬼の「登場タイミング」や「逃げ方」が計算されている
時間経過でランダムに青鬼が登場することもありますが、
大抵は、何らかのアクションを起こした時に、登場します。

そして、その際の逃げ方は、いくつかありますが、部屋の障害物などをうまく使って
逃げ切ることがコツになります。つまり、「家具の多い部屋が逃げやすい」など、
地形を熟知することで、青鬼から逃げやすくなっています。


また、面白い逃げ方として「タンスの中に隠れる」というものがあります。
特に、ゲーム中で、「2体の青鬼が上下から襲ってきて絶体絶命」というシーンがあり、
ここでは「タンスに隠れる」が唯一のかわし方になっています。
(これ以外の個所では、一定の確率でタンスを開けられてゲームオーバーになります)

攻略サイトも多いですが、自力で攻略するとなると、何度もゲームオーバーになりながら
逃げ道を見つけることになるでしょう。しかし理不尽なものは何一つなく、
「何とかうまくやってかわせる物」ばかりなのが絶妙なバランスになっています。

■4.バージョンごとに別作品のように謎解きが刷新されている
僕が移植したのはバージョン6系でしたが、他に1、3、5系がメジャーアップデートです。
これらは、殆どのマップと謎が置き換えられており、
バージョンというより、別の作品(青鬼2、青鬼3)と言った方がいいと言えます。

いずれも、上記1~3が徹底されており、バージョンが上がるたびに、
既存のファンに加えて新規ファンが増えていました。
どうやら、この作者さんは、こういうパズルを作るのが大の得意のようで、
青鬼以外の作品も、面白いパズルが満載です。
ファンを退屈させない、この意気込みは、到底僕には真似出来るものではありません。

●『青鬼2016』にて、僕が機能追加した点での評価と反省点
青鬼については「ベタ移植ではなく、新要素や、他キャラとのコラボを入れてほしい」という
要望がありました。概ね評判で良かったのですが、若干の反省点も感じています。

■1.全員生存ルートを作ってしまった
従来の青鬼のバージョンでは、乗り込んだ中学生4人のうち、主人公以外は、
どうしても救うことが出来ませんでした。
僕はそこに目をつけ、各キャラに「生存フラグ」を立てるイベントを追加しました。

これは「謎が増えた良アレンジ」「トゥルーエンドが2種類追加された」と概ね好評でしたが、
実は「ホラーゲームのジレンマ」とでも言えるものをはらんでいたのです。

多くのホラーゲームでは、生存するはずの仲間が死んでしまった時、
状況が不利になり、時には死んだ仲間が生きている主人公を襲うこともあります。
一方、生存フラグを立てれば、そういった危機が回避され、安全度が増します。

さて、ホラーゲームをやる人は、敢えて「自分を不利な状況に追い込んで、
そこから状況を打開すること」を楽しむ人が多いように思えます。
「仲間を助ける」という大切なことをした結果、
「自分を不利に追い込んで楽しみたいのに、逆の状況になってしまった」ということが
往々にしてあるといいます。


よってもし、他の追加要素を思いついていたら、全員生還エンドは
採用していなかったかもしれません。

■2.「むてきモード」での別展開はギャグ中心にした
従来の青鬼では、主人公の名前を「むてき」にすると、青鬼に接触しても死なないモードで
遊べました。それで遊んだ人も結構いると思います。
ただし、袋小路に追い詰められると詰んでしまうこともありましたね。

僕のアレンジでは、袋小路に追い詰められても、青鬼は少しずつ動くため、
はまりにならなくなったうえ、「コミカル」という別モードでは、
なんと「むてき」仕様にした時だけ見られるお遊びモードが満載でした。


つまり、従来の「ホラーで怖がらせて楽しませる」というより「お遊び要素で楽しませる」道を
選んだということです。(この多くは、僕よりも、シナリオ担当のふうきゅうさんが
相当頑張ってくれています)

これは青鬼の純粋なホラーが完璧に近かったため、「それ以上の恐怖」が思いつかなかったゆえの
策でしたが、概ね好評で、結果オーライでした。

■3.難易度強化としての「倍速モード」の導入
上記のように、アレンジに当たっては、ホラーをやらない僕(ふうきゅう氏も)は、
「恐怖度を増す」以外の演出の強化に重点を置きました。

ただ、一つだけ、難易度を上げるフィーチャーを入れました。
それが、主人公の名前を「ばいそく」にした時に遊べる「倍速モード」です。
従来のイベントは通常速度で進みますが、青鬼追跡時の青鬼の速度や、主人公の速度は倍となります。
これはどうやら、青鬼の熱狂的なファンからは、タイムアタック用に重宝され、
僕はどうしても30分切れなかったところ、15分以内にクリアする猛者が続出する結果となりました。

以上のように、「ホラーに明るくない人間が知恵を絞って行ったアレンジ」なのですが、
概ね好評でしたが、もしホラーをやる人が移植を担当していたら、全く違ったゲームになっていたと思います。

●個人的にホラーゲームのタブーだと思う事
『青鬼2016』制作にあたって、いくつかホラーゲームのプレイ動画などを観ましたが、
個人的に「これはよくないな」と思った演出をひとつだけ挙げます。

■ラストで、ゲーム中で死んだ仲間が全員生き返る
ゲーム名は伏せますが、この演出は、ブーイングの嵐でした。
僕は特に何とも思っていないし理由も分からないのですが、ホラーゲームのファンからすると、
「死んだ仲間が生き返る」というのは、大変悪い事のようなのです。

よって、『青鬼2016』でも、これは決して入れませんでした。

●結論に変えて
上記では説明しなかった部分でも、青鬼をヒット作たらしめている要素は数多くあります。
それは、シンプルなのにどことなく恐怖を感じるビジュアルや、ただ風のBGSが吹くだけの
BGMのない通常移動が、雰囲気を盛り上げています。

また、はどはど様のご指摘にあった「特定のTPOでメニュー画面を開いたら、突然仲間が青鬼に変身」などの
凝られたギミックもあるでしょう。
このあたりは、たくさんホラーゲームをやっている人ならではのアイディアでしょうね。

ホラーゲームに詳しくない人間の移植した『青鬼2016』ですが、ホラーゲームに詳しいあなたなら、
このようなゲームに、どんな演出を入れるでしょう? この記事があなたの参考になれば幸いです。
僕は……自分でオリジナルのホラーゲームを作る素質はなさそうです。
 

印度一好色

ユーザー
うーむ、これは勉強になりますね。
公開して遊んでもらった反応を見た上での検証は実に有意義ですし、
そこから導き出された鉄則は本当に実効性のあるものだと思います。
「ひとつのアイテムに複数の効果がある場合もある」については、
作品紹介スレのdashiさんの『夢幻の扉』でもとても感心させられた点です。
なんとなくこれまで遊んだゲームの経験則みたいなものが染みついてて、
ついつい一度使ったアイテムは用済みって思い込んじゃってるんですよね。
 
なるほどなるほど・・・「死んだ仲間が生き返る」はタブー・・・

でも、これもアイデアしだいで化けると思いますね。
「死んだ仲間は生き返るが、元の姿とは限らない」とかだったら、ホラーなバッドエンドになりますよね。

僕が思うに、なぜただ死んだ仲間が生き返るのが不人気かっていうと、
多分「事件が起こったのに最初と何一つ変わらない終わり方」でつまらない(=何も進歩・成長していない=何の意味もない)
と感じてしまうからなんじゃないかなーと。
だから、最初と何か違う形で終われば、それほど不評は買わないのではと思いますね。
 
最後に編集:
はどはどさん>
ナイスな分析有難うございます。なぜこれが駄目だったのか、ホラー好きではないので分からなかったのですが、
大変腑に落ちました。

あいにく僕には「ホラー好きの感性」が備わっていないので、困難ですが、
仮にホラーが好きな人なら、うまくこの展開を料理すれば、確かに面白いものになるかもしれませんね。
このあたり、もしホラー好きな人がいらっしゃったら、そういうお方の意見をもっとお伺いしてみたいな、と思います。
 

ししゃも

ユーザー
単純に生き返ってしまうから、はどさんの言う「何も変わらなかった」になってしまう
例えば主人公の命と引き換えや、全員の記憶と引き換え→生き返るが友人ではなくなる
などの工夫を凝らすことで生き返りエンドを有益にできるのではないでしょうか?

ただ、その演出が「ホラー」かというとそうではないですね
感動系ではなく、あくまで「ホラー」というスタンスは崩したくない場合はさらなる捻りが必要かと思います
 
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